独身外国人女性、ロンドンで我が城を手に入れる。
離婚を機に渡英し、物書きとして生計を立てる著者。 外国人・独身・女性・フリーランスという不利な条件を抱えて、それでも1LKのフラットを 買うところまでこぎつける。インテリアのカラーリングに試行錯誤し、キッチンとバスルームを「室内庭園」に見立て、 小さな鉢植えで草花を育てていくくだり、“手作りは面倒くさい”と言いながら、背に腹は 変えられず、DIYの楽しさにも触れるあたり、テンポがあってあっという間に読むことが できた。余計な装飾がない代わりに、少々自慢気な言葉尻は、まあご愛嬌ということにしよう。 これが私の主張だ!という本ではないと思う。 余韻がある本でも、憧れを掻き立てる本でもない。 しかし、私はここでこんな風に生きている、という読み物としては充分手応えのあるもので、 一気に読み終えたことを書き添えておこう。 値段が高いのは、ページごとにカラーのワンポイントや写真、イラストが入っているからで、 まずは、古本屋や図書館で見つけた折に、手に取ってみることをお勧めする。
廣済堂出版
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